北極・南極の2025年2月の海氷情報
1.北極における2025年2月の海氷状況
2025年2月の北極海氷域面積(注1)(図1)は、1月および2月の平均面積が過去最小だった2018年を1月下旬に下回った後、2月7日まで12.9百万平方キロメートル前後で推移しました。その後、2月16日まで増加しましたが、それ以降はほぼ横ばいの状態が続きました。最終的に、2025年2月の北極海氷域面積は、衛星観測史上最も小さい値を記録しました。2月平均の海氷域面積は13.1856百万平方キロメートルで、2018年の記録を29万600平方キロメートル下回りました(図2)。また、2024年2月と比較すると88万6300平方キロメートル(日本の国土面積の約2.3倍)減少し、前年同月比での減少幅としては過去最大となりました。2025年2月の海氷分布を見ると、オホーツク海・ベーリング海・バレンツ海・ラブラドール海では、例年(2010年代平均)と比べて海氷が少ないことがわかります(図3)。特に、オホーツク海の海氷域面積は64万8000平方キロメートルと過去2番目に小さい面積となり(図4)、北極海氷域面積だけでなく全球海氷域面積の年間最小値更新に寄与したと考えられます。通常、北極海氷域面積は3月に年間最大値を記録しますが、3月13日時点で過去最小の状態が続いており、今年の年間最大面積も過去最少を記録する可能性があります。



2.南極における2025年2月の海氷状況
2025年2月7日、全球海氷域面積が年間最小値を更新しました(注2)。その16日後の2月23日、南極海氷域面積は2.1117百万平方キロメートルとなり、2025年の年間最小値となりました(図5)。この値は、人工衛星による海氷観測が開始されて以来、3番目に小さい面積です。これまでの最小値は2023年の1.9653百万平方キロメートルであり、2025年はそれより約14万6400平方キロメートル(日本の国土面積の約0.54倍)増加しました。また、2025年2月平均の南極海氷域面積は2.3285百万平方キロメートルとなり、過去4番目に小さい面積でした(図6)。2025年2月の海氷分布を見ると、ウェッデル海・ベリングスハウゼン海・アムンゼン海では、例年(2010年代平均)と比べて海氷が少ないことがわかります(図7)。一方、ロス海では海氷密接度は低いものの、海氷は残っており、2月としては2015年以来の多さとなりました。南極海氷域面積はこの数年で急激に変化しており、年間最小値の上位は直近の4年間(2022〜2025年)に集中しています。また、2025年は全球海氷域面積の年間最小値が更新されたこともあり、北極と南極を含めた広域の視点に加えて、各海域の海氷変動・変化にも着目しながら、モニタリングを継続し、海氷の変動要因を解明していくことが重要です。


注1:海氷域面積
通常の北極・南極海氷域面積の計算では、データ欠損による算出エラーを防止するため、複数日データの平均から算出しています。本記事では、5日平均の確定値を使用しました。 2日平均の速報値は、ADSをご参照ください。