北極・南極の2025年7月の海氷情報
1.北極における2025年7月の海氷状況
2025年7月の北極の海氷域面積(注1)は、2010年代の平均を下回る水準で推移しました(図1)。2020年よりはやや多かったものの、7月中旬以降は2012年とほぼ同様のペースで縮小が進みました。月平均の海氷域面積は約743.34万平方キロメートルで、前年の2024年より約17.23万平方キロメートル少なく、衛星観測開始以来4番目に小さい値です(図2)。海氷域および海氷密接度の空間分布を示した図3を見ると、グリーンランド沖からバレンツ海・カラ海にかけての大西洋側では海氷後退が顕著に進み、2010年代平均を下回る状態です。一方、東シベリア海・チュクチ海・ボーフォート海など太平洋側の一部海域では、2010年代平均をやや上回る海氷が維持されています。6月には海氷後退があまり見られなかったラプテフ海でも、7月には2010年代平均の水準まで縮小しました。図4に示すように、7月のラプテフ海上の平均気温は平年より3〜5℃高く、これが海氷融解の一因と考えられます。北極の海氷域面積は、年間最小を記録する時期に入りつつあります。今後の大気循環の変化によって気温や風がどう変動し、それが海氷の融解にどう影響するかを把握するためにも、引き続き慎重なモニタリングが重要です。



2.南極における2025年7月の海氷状況
2025年7月の南極の海氷域面積は、月を通じて2023年・2024年に次いで3番目に小さい水準で推移しながら拡大を続けました(図5)。月平均の海氷域面積は約1473.74万平方キロメートルで、前年(2024年)より約45.99万平方キロメートル多くなりましたが、衛星観測開始以来では依然として3番目に小さい値です(図6)。海域別の分布を示した図7によると、全体的には2010年代平均の水準にまで回復しつつあるものの、リーセル・ラーセン海の北東部やベリングスハウゼン海では、依然として海氷域が小さく、密接度も低い状態が続いています。これらの海域における今後の海氷変動については、注意深いモニタリングが必要です。


注1:海氷域面積
通常の北極・南極海氷域面積の計算では、データ欠損による算出エラーを防止するため、複数日データの平均から算出しています。本記事では、5日平均の確定値を使用しました。2日平均の速報値は、ADSをご参照ください。
注2:NCEP-NCAR Reanalysis 1 米国環境予測センター(NCEP)と米国国立大気研究センター(NCAR)で開発・提供されている大気再解析データ(https://psl.noaa.gov/data/gridded/data.ncep.reanalysis.html、Kalnay et al. (1996))。
参考文献
Kalnay et al.,The NCEP/NCAR 40-year reanalysis project, Bull. Amer. Meteor. Soc., 77, 437-470, 1996