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北極海氷分布予報

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2025年拡大期予報

2025.09.22 木村詞明(東京大学大学院新領域創成科学研究科)、北極海氷情報室

2025年の10月1日から11月30日までの予測海氷分布。
図1:2025年の10月1日から11月30日までの予測海氷分布。
  1. 北極海では多くの海域で平年より遅いペースで海氷域が拡大する見込みです。
  2. ロシア沿岸は10月10日頃、多島海を除くカナダ沿岸は10月20日頃に海氷域が沿岸に達し、航路が閉じるでしょう。
10月1日、11月1日、11月30日の予測海氷分布。
図2:10月1日、11月1日、11月30日の予測海氷分布。
10月1日、11月1日、11月30日の予測海氷分布。
10月1日、11月1日、11月30日の予測海氷分布。
予測された海氷密接度の平年値(2003-2023年の平均値)からの偏差。
図3:予測された海氷密接度の平年値(2003-2023年の平均値)からの偏差。赤が平年より海氷が多くなる場所、青が平年より海氷が少なくなる場所を示す。

北極海の海氷域面積は9月7日頃に今年の最小になり、海氷域は拡大をはじめました。2003年から2024年までの平均と比べると今年は東シベリア海とカナダ沿岸の一部に氷が多く残りましたが、それ以外の海域では海氷域が比較的大きく後退しました。図3に示す通り、それらの海氷域の後退が大きかった海域をはじめとする多くの海域で海氷域の拡大は平年より遅くなる見込みです。とくにベーリング海峡やそこに近いチュクチ海では11月末になっても海氷の少ない状態が続くでしょう。


北極海の海氷面積は減少時と逆のパターンで増加していく傾向があり、夏に早く海氷がなくなると、秋に海氷が張り出すのが遅くなります。 そのため、ある場所での海氷のなくなる早さと秋の拡大時の張り出す早さには相関があります。今回の予測は2003年から2024年までの20年間のデータを用いて、5月1日から9月1日までの海氷密接度が15%以下だった日数と10月1日以降の日の海氷密接度との相関関係を用いて行いました。


この予測には人工衛星搭載の国産マイクロ波放射計AMSR-EおよびAMSR2による観測データを用いました。

毎日の 予測図 及び 海氷齢(日齢、年齢)は国立極地研究所の北極域データアーカイブシステムでも見ることができます。