北極・南極の2025年1月の海氷情報
1.北極における2025年1月の海氷状況
2025年1月の海氷域面積(注1)は、これまでで最も小さかった2018年に並ぶように推移していましたが、1月下旬になると減少に転じました(図1)。最終的には衛星観測史上最も小さい1月の海氷域面積を記録し、平均海氷域面積は12.5946百万平方キロメートルで、2018年の記録を約5600平方キロメートル(愛媛県の面積に相当)下回りました(図2)。また、2025年1月の海氷分布を見ると、オホーツク海、ベーリング海、バレンツ海、ラブラドール海での海氷拡大が遅れていることがわかります(図3)。一方、12月まで海氷が少ない状況が続いていたハドソン湾は、1月には全面的に海氷に覆われました。ただし、ハドソン湾東側の沿岸付近では依然として海氷密接度が低いことがわかります。北極の海氷は通常3月に年間最大面積を記録しますが、2024年12月から2025年1月にかけて海氷が少ない状態が続いているため、今年の年間最大面積が記録的な小ささになる可能性があり、注意深くモニタリングを続ける必要があります。


2.南極における2025年1月の海氷状況
2025年1月の海氷域面積は、2010年代平均と同様のペースで減少を続けました(図4)。1月の平均海氷域面積は、2024年1月の約4.101百万平方キロメートルから約4.748百万平方キロメートルへと増加し、前年と比べて約0.647百万平方キロメートル(日本の面積の約1.7倍に相当)多いことになります(図5)。また、海氷域および海氷密接度の空間分布を見ると、2010年代平均と比較して、ロス海とベリングスハウンゼン海では海氷の後退が特に速いことが確認されました(図6)。これに対して、アムンゼン海では2010年代平均よりも低緯度側に多くの海氷が残っており、海域ごとに異なる変化が見られました。南極の海氷域面積は例年2月下旬頃に最小値を迎えますが、気象条件によっては今後変動する可能性があります。そのため、引き続きモニタリングを行い、変化を注意深く観察することが重要です。


注1:海氷域面積
通常の北極・南極海氷域面積の計算では、データ欠損による算出エラーを防止するため、複数日データの平均から算出しています。本記事では、5日平均の確定値を使用しました。 2日平均の速報値は、ADSをご参照ください。