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北極・南極の2026年1月の海氷情報

1.北極における2026年1月の海氷状況

日々の海氷域面積(注1)は、12月末から1月上旬にかけてこれまで最も小さかった2025年を上回って推移しました。その後、中旬に2025年を下回り、下旬には再び増加しましたが、月を通してみると、全体的に小さい水準で推移しました(図1)。その結果、1月の月平均海氷域面積は約1263万平方キロメートルとなり、2025年より約4万平方キロメートル大きかったものの、衛星観測開始以来3番目に小さい値となりました(図2)。海域別にみると(図3)、バレンツ海およびバフィン湾・ラブラドール海では、2010年代平均(平年)と比べて海氷が少ない状況でした。特に、バフィン湾のグリーンランド西岸沖では、依然として開放水面域が広がっています。また、オホーツク海やベーリング海西部においても、海氷の密集した海域が少なく、全体的に海氷が少ない傾向がみられました。1月の大気場をみると(図4)、バフィン湾を中心とする周辺海域では、平年より4~10度高い気温が観測され、南東寄りの比較的暖かい風が吹き込みやすい状況でした。オホーツク海上でも気温は平年より2~4度高く、沿岸部に向かって海氷を押し付ける方向の風が卓越していました。このような気象条件が継続したことにより、これらの海域では海氷が少ない状況になったと考えられます。一方、チュクチ海からボーフォート海、アラスカからカナダ北部にかけての地域、およびオホーツク海北側の陸域を除くロシア大陸では、平年より低温の状態が続いていました。

図1:北極海氷域面積の変化(11月1日〜3月31日)。赤色実線:2025-2026年(但し、2月1日まで)、金色実線:2024-2025年、黒色実線:2012-2013年(2012年は1979年から2025年までの47年間で海氷域面積の年間最小値が最も小さかった年)、黒色破線:2010年代(2010〜2019年)平均。海氷域面積の計算には5日平均の確定値を使用した。


図2:1月平均の北極海氷域面積の経年変化(1979年から2026年までの48年間)。海氷域面積の計算には5日平均の確定値を使用した。本記事では、データ数が少なかった1979-80年、1982年、1984-1985年、1987年については、平均値の計算をせずに欠測とした。


図3:北極における2026年1月の(左)海氷域(海氷密接度15%以上)と(右)海氷密接度の空間分布。橙色実線は同月の2010年代(2010〜2019年)平均の海氷縁(海氷密接度15%で定義)を表している。


図4:(左)2026年1月平均の925hPa面の気温偏差(℃、カラー)と気温(コンター(等値線))の分布。(右)2026年1月平均の海面更正気圧(hPa、カラー)と925hPa面の風ベクトル(矢印)の分布。気温偏差は、平年(2010年代(2010〜2019年)平均)からの差と定義している。この図では、NCEP-NCAR Reanalysis 1(注2)のデータを使用した。


2.南極における2026年1月の海氷状況

日々の海氷域面積は、1月上旬までは2024年とほぼ同じように減少を続けていましたが、その後は減少のペースが鈍化し、2010年代平均に近づくように推移しました(図5)。その結果、1月の月平均海氷域面積は約453万平方キロメートルとなり、前年(2025年)より約21万平方キロメートル小さかったものの、過去16番目の小ささとなり、比較的多くの海氷が残りました(図6)。海域別にみると(図7)、全体的に海氷域は縮小しましたが、リーセル・ラーセン海域では海氷減少が顕著でした。これは、2025年12月の海氷密接度が低かったため(注3)、短期間で海氷融解が進んだものと考えられます。同様の状況は、2026年1月のロス海とアムンゼン海の間の海域にもみられることから、今後の気象条件によっては海氷融解が一気に進む可能性があります。一方、ウェッデル海では2010年代平均と同程度の海氷域が残っており、海氷密接度が高い状況が続いています。このことが、南極全体の海氷域面積の減少が鈍化した要因の一つになっていると考えられます。南極では、まもなく年間で最も海氷が少ない時期を迎えますが、引き続き注意深く状況を監視していくことが重要です。



図5:南極海氷域面積の変化(11月1日〜3月31日)。赤色実線:2025-2026年(但し、2月1日まで)、黒色実線:2023-2024年(2023年は1979年から2025年までの47年間で海氷域面積の年間最小値が最も小さかった年)、黒色破線:2010年代(2010〜2019年)平均。海氷域面積の計算には5日平均の確定値を使用した。
図6:1月平均の南極海氷域面積の変化(1979年から2026年までの48年間)。海氷域面積の計算には5日平均の確定値を使用した。本記事では、データ数が少なかった1979-80年、1982年、1984-1985年、1987年については、平均値の計算をせずに欠測とした。


図7:南極における2026年1月の(左)海氷域(海氷密接度15%以上)と(右)海氷密接度の空間分布。橙色実線は同月の2010年代(2010〜2019年)平均の海氷縁(海氷密接度15%で定義)を表している。

注1:海氷域面積
通常の北極・南極海氷域面積の計算では、データ欠損による算出エラーを防止するため、複数日データの平均から算出しています。本記事では、5日平均の確定値を使用しました。2日平均の速報値は、ADS をご参照ください。

注2:NCEP-NCAR Reanalysis 1
米国環境予測センター(NCEP)と米国国立大気研究センター(NCAR)で開発・提供されている大気再解析データ(https://psl.noaa.gov/data/gridded/data.ncep.reanalysis.html、Kalnay et al. (1996))。

参考文献
Kalnay et al., The NCEP/NCAR 40-year reanalysis project, Bull. Amer. Meteor. Soc., 77, 437-470, 1996

注3:北極・南極の2025年12月の海氷情報